夏場の本州は、気温30度以上で湿度が80%を超える場合が殆どで、このときの絶対湿度は25gに及び、逆に冬場の気温は5度程度で湿度は30パーセント程度となり、このときの絶対湿度は3g程度で完全に乾燥状態となります。
赤道直下の熱帯雨林の多湿と、砂漠の冬によく似たカラカラ乾燥の両極端な気候をもたらす地域は、北半球で日本だけと言われています。また、夏場の直射日光に加熱された部分が100度に到達して暑さに拍車をかけます。
この特殊な気候風土で培われてきたのが、開放型で屋根だけに両極端な断熱性能を持たせた、藁葺きの屋根でした。
藁葺きの屋根は夏場の直達日射熱を完全に遮断するにはおおいに有効的です。また、この藁葺き屋根が含んだ湿気が蒸発する際に周辺気温を奪って冷房役割を果たし、冬は湿気を補給して過乾燥を防ぐ役割を果たしていました。
日本の建物は、大きな石を基礎にして土台を組み、木材の土台や柱を完全に開放して空気に触れさすことで建物を腐蝕菌から護ってきました。
また、熱帯雨林のような多湿状態とカラカラ砂漠の過乾燥を暖和して、家と住む人のストレスを和らげてきたのです。この様な工夫の中には当然ながら「顕熱」・「潜熱」の存在もおりこみ済みであり、その卓越した技術は知れば知るほど驚くことばかりです。
現在の住宅を省みた時、この様な先人たちが何千年にもわたって培った、この大変特殊な日本の気候風土に適合した技術が、殆ど生かされていないことに気づかなければなりません。
新建材や冷暖房機器普及などで住宅がどんなに進化しても、この日本家屋の思想理念を必ず生かしておくことが必要なのです。

